『小さな命と あっちとこっち (古道具ほんなら堂2)』楠 章子・著(毎日新聞社)
においガラス、虫くいタオル、一日だけの海、鬼のこづちの4章からなる本作。
テーマは「いのち」です。
ほんなら堂の店主・燈花さんだけでなく、今回も不思議な道具も登場します。
ファンタジー・児童書ですが、
年齢を問わず、楽しめる作品なのも本作品の最大の売りです。
「においガラス」は、戦時中、子どもたちの間で、人気になったアイテムで、
こすりつけると、よい香りがするガラス(実は、戦闘機の防風ガラスの破片)だそうです。
70代の母に「においガラス」のことをきいてみると「あったあった! 懐かし〜」と
言っていたので、子どもだけでなく、年齢を問わず親近感を持てるでしょう。
4つの章に書かれている内容も、子どもから大人へ成長するなかで、いずれかは、経験のあること。
自分の命、人の命。
生きぬくためには、時として「勇気」が必要になります。
そして、生きるために、自分以外の命の尊さも気づいて欲しいのです。
子どもたち、全員に、この本を読んでもらえたらなと思います。
この続編も、雑誌「本の時間」(毎日新聞社)で連載中。
第3段も、はやく本にならないか、楽しみです。