京都の細見美術館へ、「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」の内覧会に行って来ました。
展覧会の撮影オッケーとのことでしたので、許可を得ての写真です。

タラブックスは、インド南部のチェンナイを拠点とする独立系の出版社。
今年で25周年だそうで、
少人数で仕事をしており、小さい規模のままで、今後も続けていくとのこと。

ギータ・ウォルフさん(タラブックス代表)のギャラリー解説は、
忘れかけていた、物語の創作方法を思いださせてくれるものでした。

タラブックスの
創作方法は、作り手のアーティストによって、違っていてる。

世界各国で出版されている『夜の木』では、
ゴンド族のアーティストに絵を描いてもらうと
必ず、木が描かれていることに気がついた。
そこで、「木を書いて下さい。この木にまつわる話はないですか?」と
アーティストに聞いてみると、
それぞれの木の物語を話してくれる。
それを、1冊の本にまとめたのが『夜の木』だそうだ。

絵にする作業も、アーティストが描いた絵を
デザイナーが色をつけて、アーティストに確認。
それをもとに本をつくるという方法。

紙の手すき作業からはじまり、
色の分解作業(これは、デザイナーがMACをつかって作業をしていた)
シルクスクリーンでの印刷作業
製本作業まで、手作業でタラブックスで行っている。

この手作業で行う製本作業は、偶然の産物でしている事なのだが、
なぜ、このような手間ひまがかかる方法にしているのかは、
展覧会をみにいって確認してもらいたい。

『夜の木』が印刷された紙をさわると、
凹凸の、ふわふわした真っ黒の紙で
手ざわりがよい。そして、インクの匂いがただよう。

「テクノロジーに反対しているわけではない。
手ざわりでさわれるものを残したり、
物の感覚を大切にして、本をつくっていきたい」
と話されていた。

本の造本も、さまざまな方法にチャレンジしている。
ジャバラ状のもの。巻紙のようなもの。
布に染色したもの。大きな紙に書いたもの。
筒状にまるくなったもの。穴のあいたもの。

本のカタチを利用して、それぞれの物語ができていく過程は、
とても、興味深いものだった。

↑茶室の特別展示は、7月7日まで。

それぞれの民族・民俗の伝え方を尊重しながら、
お話しを採集していき、本にまとめる作業は、
「採話」といって、日本でも私たちの先輩編集者や作家がしてきた活動でした。
いまも継続されているのでしょうか。

現代の日本にいいかえると、ノンフィクションの執筆活動が、
この作業に近いのかもしれません。

2019年8月18日まで、京都・細見美術館で開催。

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