『二つ、三ついいわすれたこと』 (STAMP BOOKS)
ジョイス・キャロル・オーツ:著 神戸 万知:翻訳
久々にヤングアダルトの翻訳本を読みました。
有名大学に進学が決まりミス・パーフェクトと呼ばれるメリッサと
家庭環境に悩むナディアは、共通の友人のティンクが亡くなり、
そのショックから立ち直ることができません。
ティンクは、母親が大女優で自分自身も有名な元子役。
学校からは、異端視されているけれど、
ちょっと生意気でありながら、率直なティンクは、
二人の心の支えでもありました。
支えを失い戸惑い、時には死のうかとためらう心の葛藤と不安定さ。
時系列をバラバラにし、推理小説のような展開で物語は進んでいきます。
それが読者にも不安を感じさせ、先のみえない迷路のような感覚を与えることに成功している。
ネットでのいじめ(アメリカでもあるのか)や自傷行為なども描かれていて、
現代の思春期女子のリアルな姿なんですよね。
リアルすぎて、途中、読むのが辛くなりました。
悩みながら、ティンクの死に向き合あおうとする、二人の姿を丁寧に描いています。
追記
今日、なつかしい友人から、久しぶりのメールが届いた。
同じゼミだった同級生が、昨日、亡くなったという知らせだった。
一日、気持ちがざわざわして落ち着かず、仕事に集中できなかった。
卒業後は、めったに会うことのなかった同級生でしたが、
それもで、なお、悲しい気持ちと寂しい気持ち、不安な気持ちが
澱のように重なり、気持ちが沈んだ一日でした。